「蓄電池でEV車って本当に充電できるの?」そんな疑問をお持ちのあなたへ。
電気設備のプロである私が、実際にDIYで構築した太陽光発電システムでPHEV車の充電実験を行いました。
結果は、
2.4kWh蓄電池でEV車を充電することは可能。でも充電に30時間かかるので蓄電池の容量は足りない。
です。
高額なV2H設備がなくても、工夫次第で蓄電池でEV車の充電はできることがわかりました
この記事では、実際の検証データと電気のプロならではの安全対策、そして誰でもマネできる裏技まで全て公開します。
目次
蓄電池でEV車充電は本当に可能?【電気設備のプロが検証】
結論から言うと、
蓄電池でEV車の充電は可能
です。
私は電気設備の点検を仕事にしており、実際にDIYで導入した太陽光発電システムでPHEV車の充電実験を行いました。
2.4kWh容量の蓄電池と2500WインバーターでPHEV車に100V充電を実施し、満充電まで30時間で完了することを確認。
つまり、
適切な設備構成があれば蓄電池からEV車への充電は十分実現可能
なのです。
100VコンセントでPHEV車を実際に充電してみた結果
PHEV車への充電は思った以上に簡単です。
100V普通充電ケーブルを蓄電池の電気が出力されている家庭用コンセントに接続する
たったこれだけ。

充電中の消費電力は常に650Wで安定しており、蓄電池の残量表示も順調に減少していく様子を確認。
約30時間でEV車を0%から100%に充電することができました。
2.4kWh蓄電池で650W消費・30時間充電の実態
2.4kWh容量では、
約5時間の充電が限界という現実
と感じます。
計算上650W×30時間=19.5kWhとなり、2.4kWhの蓄電池では全然足りません。
そのため、
満充電1回分を蓄電池だけで賄うには約8倍の容量が必要で、現実的には太陽光発電との併用が不可欠
ということです。
小容量蓄電池単体では部分充電しかできない
DIY太陽光発電システムの構成と性能データ
DIYで導入した2.4kWhの蓄電池はそもそもEV車を充電する目的ではありません。
節電、停電時の電力確保が目的です。
屋根上に設置した525Wソーラーパネルが発電した電力を、納戸の2.4kWh蓄電池に蓄積し、2500Wインバーターで家庭用100V電源に変換しています。

このシステムにより、電気代を従来の月額15000円から3000円まで削減し、年間10万円の節電効果を実現。
節電対策の一環としてEV車も充電できればいいなと思い検証してみました。
蓄電池からEV車に充電する3つの方法【実体験レポート】
蓄電池からEV車への充電方法は主に3つのパターンがあります。
私の実体験を通じて、それぞれの特徴と実用性を詳しく解説していきます。
どの方法も一長一短がありますが、設備投資と使用目的に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
①家庭用インバーター(2500W)を使った直接充電
インバーターによる直接充電が最も実用的。
蓄電池の直流電力をインバーターで100V交流に変換し、EV車の標準充電ケーブルに接続する方法です。
PHEV車の充電に必要な650Wに対し、インバーター容量は2500Wなので十分な余裕があり、安定した充電が可能となります。
この方法なら既存の充電ケーブルをそのまま使用でき、追加設備も最小限で済むため最もお勧めできます。
②V2Hシステムなしで可能な充電方式とは
V2H設備がなくても蓄電池充電は実現できます。
通常のV2Hシステムは200V高速充電対応で100万円以上かかりますが、100V充電なら家庭用インバーターで代用可能です。
充電時間は長くなりますが、夜間や非常時の補助充電としては十分実用的で、設備投資も10分の1以下に抑えられます。
つまり、
高額なV2H設備を導入せずとも、工夫次第で蓄電池EV充電システムは構築できる
ということです。
③太陽光発電と蓄電池の連携充電システム
太陽光発電との連携により長時間充電可能なシステムが完成します。
日中は525Wソーラーパネルからの直接電力とバッテリー放電を併用し、夜間は蓄電池のみでEV充電を行う。
このシステムにより、晴天日なら約8-9時間分のEV充電電力を太陽光で賄えることを確認しました。
結果として、ほぼ無料でのEV充電が可能となり、環境負荷とランニングコストを大幅に削減することが可能です。
蓄電池でEV充電する際の注意点と対策【プロが解説】
蓄電池EV充電には電気設備の専門知識が必要です。
電気設備点検の仕事で培った経験から、安全で効率的な運用のための重要ポイントを解説します。
特にインバーター容量不足や設置環境の問題は、最悪の場合火災や感電事故につながる危険性があるので注意してください。
適切な知識と対策により、安全で長期間使用できるシステム構築が可能になります。
インバーター容量不足で起こるトラブル事例
インバーター容量不足は深刻なトラブルの原因となります。
EV充電に必要な電力より小さい容量のインバーターを使用すると、過負荷により内部回路の焼損や突然のシャットダウンが発生します。
実際に私の現場でも、1000WインバーターでEV充電を試みた際、保護回路が作動し充電が停止するトラブルを経験しました。
そのため、充電電力の1.5倍以上の容量を持つインバーターを選定することが安全運用の基本となります。
納戸設置時の安全対策と設備点検のポイント
納戸へのバッテリー設置では換気と温度管理が最重要です。
リチウムイオン電池は高温環境下で劣化が促進され、最悪の場合熱暴走により火災の危険性があります。
我が家の納戸は24時間換気システムが設置されており、夏場でもバッテリー周辺温度を常時25度以下に保つことが可能です。
また、月1回の端子部点検と年2回の絶縁抵抗測定により、早期の異常発見と安全確保を徹底しています。
夜間充電時の蓄電池残量管理術
夜間充電では蓄電池の過放電防止が重要になります。
蓄電池を完全に使い切ってしまうと、電池寿命の大幅な短縮や起動不能状態に陥る可能性があるので注意が必要です。
私の運用では、
蓄電池残量が20%を下回った時点で自動的にEV充電を停止し、蓄電池の充電が溜まったタイミングで充電を再開する
ことを心がけています。
一度に満充電するのでなく、天気が良く発電量が多い日に充電する
V2Hシステムなしでも蓄電池EV充電を成功させる裏技
高額なV2H設備がなくても工夫次第で効率的なEV充電システムは構築できます。
私が実際に試行錯誤して見つけた、コストを抑えながら実用的な充電環境を実現する具体的な方法を紹介します。
特にパネルの設置角度の最適化と機器の相性チェックは、充電効率に大きな影響を与える重要なポイントです。
これらの裏技を活用すれば、DIYレベルでも十分実用的なシステムが完成します。
屋根上ソーラーパネル設置の最適角度と方角
ソーラーパネルの設置角度で発電効率は大幅に変わります。
私の地域では南向き30度傾斜が最も効率的で、525Wパネルから平均400W程度の発電量を確保できています。
こんな感じ

東西方向に設置した場合は発電量が約20%低下し、EV充電に必要な電力が不足する時間帯が増加しました。
つまり、限られた容量のソーラーパネルでEV充電を行う場合、設置方角と角度の最適化は必須条件となります。
蓄電池とインバーターの相性チェック方法
蓄電池とインバーターの相性不良は効率低下の主因です。
電圧特性や放電特性が合わない組み合わせでは、変換効率が70%以下まで低下し、充電時間の大幅な延長につながります。
私は電気の仕事をしている関係上、メーカーごとの性能情報を集めることができます。
コストや性能を考慮した結果、
インバーターはLVYUAN(リョクエン) 正弦波インバーター 12V/2500W(瞬間5000W)
を採用しました。
結果として、
安定した充電性能と長期間の信頼性を両立できるシステム
にすることができました。

蓄電池とインバーターの組み合わせに迷ったらLiTimeとリョクエンの組み合わせがおすすめです。
災害時でも安心できる自家発電システムの構築
停電時のEV充電機能は災害対策として非常に有効です。
台風や地震による長期停電でも、太陽光発電と蓄電池があればEV車の電力を確保でき、避難や緊急時の移動手段を維持できます。
我が家のシステムでは、
災害時でも1日あたり約20km分の走行電力を自給自足で賄えることを計算で確認済み
です。
つまり、
普段の節電効果に加えて、非常時のライフライン確保という付加価値も得られる優れたシステム
ということです。
まとめ:蓄電池でEV車充電は「条件付きで可能」が答え
蓄電池によるEV車充電は、適切な設備と運用方法により十分実現可能です。
私の実体験では、
2.4kWh蓄電池と2500Wインバーターの組み合わせで、PHEV車への100V充電を安全に実行できることを確認。ただし、満充電には30時間を要するため、太陽光発電との併用や部分充電での運用が現実的な使い方
となります。
結論として、
蓄電池EV充電は「小容量での補助充電」「災害時の緊急電源」として条件付きで可能というのが正確な答え
です。